はじめての人に何かを頼むとき、最初の1通で手が止まること、ありませんか。
何を書けばいいのか。何が決まっていればいいのか。失礼にならないか。
考えているうちに、メールの画面を閉じてしまう。
「視覚障害のある人を、授業に呼びたい」と思った先生も、同じかもしれません。
当日はどう進むのか。盲導犬が来たら、教室はだいじょうぶか。子どもたちがワッと寄っていったら、どうしよう。
この記事は、そんな先生に向けて書きました。
僕は中澤隆(なかざわ りゅう)です。視覚障害のB2というクラスで、パラトライアスロンをしています。盲導犬のシュクレと暮らしています。
講演は、9年続けています。ここ3〜4年は年に50回ほど。小学校・中学校・高校が中心です。
今日は、「頼んでから、当日が終わるまで」の流れを、呼ばれる側の僕が、順番に書きます。
最初に伝えたいことがあります。準備は、完ぺきでなくてだいじょうぶです。
先生の準備は、レベル1のままでかまいません。
つまり、ほとんど何も決まっていない段階で連絡してもらっていい、ということです。
依頼のときは、次のことがだいたい分かっていれば十分です。
「まだ全部は決まっていません」。それで、まったく問題ありません。
テーマも、いっしょに決められます。
僕が話せるのは、「視覚障害B2の生活」「IRONMANへの挑戦」「1ミリの行動」「障害理解」などです。
「今年は人権教育で」「総合の福祉の単元に合わせて」という学校のねらいがあれば、そこに合わせて話を組みかえますし、早めに相談してもらえたほうが、その学校に合った形を先生といっしょに作ることができます。
「特別な設備がいるのでは」と心配する先生が、多いです。
いりません。必要なのは、ふつうのものだけです。
スライドや映像は、なくてもだいじょうぶです。僕は、声と体験で伝えます。
そのぶん、機材のトラブルで止まる心配も少なくてすみます。
お願いは、ひとつだけ。
当日、会場までの案内をしてくれる方を、おひとりお願いしたいのです。
僕は、まったく見えないわけではありません。でも、はじめての場所では、入口から会場までの道を、目だけでつかむのがむずかしいです。
駅や玄関で「お迎え」をしてもらえると、そこから先はスムーズです。
正直に言うと、はじめての学校へうかがう日は、移動の段取りもふくめて、僕にとっては1日がかりの仕事です。
だからこそ、当日の「お迎え」と「お見送り」のひと声が何よりもありがたく、そこさえあれば、あとの特別な準備は本当に何もいらないのです。
講演には、盲導犬のシュクレもいっしょに行けます。
シュクレが入ってくると、子どもたちはおどろいて、よろこんでくれます。会場がふわっとあたたかくなる、あの空気が僕は好きです。
先生に、前もって知っておいてほしいお願いがあります。
むずかしいことは、いりません。「そっと見守る」を、子どもたちと共有しておく。それだけです。
それだけで、シュクレは安心して僕の隣にいられます。
さわりたい気持ちをぐっとこらえて、仕事中の犬をそっと見守るというその体験そのものが、子どもたちにとって、いちばんの障害理解の授業になると、僕は思っています。
当日は、こう進みます。
特別な段取りは、ありません。ふだんの集会や授業の、延長です。
控室での短い打ち合わせ。そして、お迎えとお見送り。この2つがあれば、当日はうまく流れます。
ちなみに、僕は毎回、どこかで「教わって」帰ってきます。
ある小学校では、4年生の発表を聞いているうちに、教えに行ったはずの僕のほうが、すっかり学ぶ側になっていました。
……どっちが先生か、分かりません。
ここは、「知らなかった」と言われることが多いところです。
同じ学校の中に、話を届けられる相手は、3つあります。
同じテーマをもとに、生徒にも、先生方にも、保護者にも話せます。
外から講師を呼ぶのは、手間も予算もかかります。だから、1回で終わらせず、1校で3回使う。学校にとっても、いい使い方だと思っています。
事前の動画や、あとのフォローもふくめて、年間のプログラムとして組むこともできます。
子どもたちに話しながら、僕はいつも思っています。
後ろで聞いてくださっている先生方にも、お父さんお母さんにも、本当は伝えたいことがあるのだと。
押し売りは、しません。
ただ、もし当日「うちの研修でも」「PTAでも」という考えが少しでも浮かんだら、その場で遠慮なく声をかけてもらえると、僕はとてもうれしいです。
いいえ。学校で用意してもらう資料は、基本的にありません。
いちばんのお願いは、お迎えとお見送りの案内です。それ以外は、ようすを言葉で教えてもらえれば、自分でできることがたくさんあります。
「あっち」ではなく「右に3歩」のように、具体的な言葉で言ってもらえると、見えにくい僕でも頭の中に場所を思いうかべることができて、とても助かります。
だいじょうぶです。シュクレは、仕事中は静かに僕の隣にいます。
もちろんです。学校・自治体・非営利の場合は、事情に合わせてご相談ください。
はい。マネジメント会社や団体を通した依頼も、いつもお受けしています。ふだんの窓口のままで、だいじょうぶです。
むずかしく考えなくて、だいじょうぶです。
先生にとっては、最初の1通がラスボスかもしれません。
つまり、いちばん気が重いのは、最初の連絡だ、ということです。
でも、こちらは、まったくこわくありません。
「まだ検討中なのですが」という1通で、十分です。
費用のことも、その中で聞いてください。
決まっていないことが多くても、書けるところだけ書いて送ってもらえれば、足りないところは、やりとりの中でこちらからひとつずつおたずねします。
「呼びたい気持ちはある。でも、当日うまく回せるか不安で、1歩が出ない」
そんな先生に、覚えておいてほしいことは、これだけです。
あとのこまかいことは、打ち合わせでいっしょに決めていけます。
準備を完ぺきにしてから呼ぶ必要は、ありません。
できるか、できないか、ではなく、どうやったらできるか。当日の流れは、呼ばれる側の僕が、ちゃんといっしょに考えます。
「まず相談してみる」というたった1通のメールが、あなたの学校の子どもたちにとって、忘れられない1日の入口になります。
「視覚障害B2の生活」「IRONMAN サブ11挑戦」「1ミリの行動」「障害理解」をテーマに、講演を続けています。小学校・中学校・高校・大学・企業・自治体問わず、対応可能です。盲導犬シュクレも一緒に伺うことができます。学校・自治体・非営利の場合の費用は、お気軽にご相談ください。
📧 つなひろワールドへお問い合わせ中澤の挑戦を、これからも見届けてもらえたら嬉しいです。日々の練習やレース、盲導犬シュクレとの暮らしを発信しています。
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緑内障の診断からIRONMAN完走までを、16分の動画にまとめました。
RYU NAKAZAWA | 視覚障害B2 パラトライアスリート・プロ講演家
盲導犬シュクレと共に、1ミリの行動を続ける人